古代中国の兵書 《宣伝・中国・テレビ》

『孫子』には、夜戦において篝火や太鼓が、昼間の戦闘では幟や旗差し物が、敵の戦意を失わせるうえで役割の大きいことが説かれている。

古代ギリシア・ローマ時代には、弁論で相手を圧倒し、選挙で勝利する技術として宣伝の発達がみられ、とくにアリストテレスの『雄弁術』は、宣伝について書かれた最古の手引書といえる。

また宣伝で成功したもっとも古い例は『旧約聖書』にみることができる。

本来、預言書の諸編は、その本質からみても宣伝のためにつくられたものといわれているが、とくにそのなかの、ヨナがニネベの王とその住民とに対し、将来災害が起こることを信じ込ませることによって改宗させた物語は有名である。

さらにローマ帝国初期に始まったキリスト教宣教師による「福音伝道」活動は、その教義に耳を傾ける者を改宗させる広範で組織的な宗教宣伝であり、これは現代でも世界各地で展開されている。

ギリシア・ローマ時代の遺跡である建造物などにみられる彫刻や壁画、またローマ共和制に端を発する貨幣は、政治宣伝に大きな役割を果たしたと指摘する人も多い。

統治者の業績が記された建造物は、特定の場所以外設置することはできないが、貨幣はどんな僻辺の農村へも侵入していくことができる。

それには統治者の名が刻まれ、統治者が変わるにしたがって随時その名が更新され、王統の承継を告げると同時に、統治に対する公認を押し付ける。

中世になると、ローマ法王庁とその規範から脱しようとする諸皇帝との争いは大宣伝戦を伴って展開される。

フリードリヒ2世は、ローマ法王庁からの破門に対して、宣伝を計画的かつ大規模に利用し、効果をあげたドイツ最初の皇帝として記録されている。

その宣伝檄文には、ありとあらゆる雄弁術が適用されており、単に目に訴えるだけでなく、朗読に際して耳に訴えるような修辞学的要素が巧みに取り入れられている。

1445年ごろ活字印刷機が発明され、以降、印刷術の発達によりパンフレットや大判印刷物が宣伝の手段として使用され、三十年戦争・1618~48ではこの印刷物による対内・対敵宣伝が活発に行われた。
update:2010年02月25日